なめくじ祭


小郷区にはいつの頃からか文覚上人(もんがくしょうにん)の墓石にナメクジが這い上がり、区民がこぞって供養を勤める日「小郷の九万九千日」があり、遙か昔より見学者が訪れていたと聞きます。それがここ約20年ほど前から小郷区主催の「なめくじ祭」という祭典となり現在に至っております。

 平安から鎌倉時代の武将「遠藤盛遠」(えんどうもりとお)が荒修行を超えて文覚上人という高僧になりました。若き日の盛遠は友人の妻「袈裟御前」(けさごぜん)に横恋慕をしてせまりました。すると袈裟御前は、「7月9日の夜中、夫を一人で寝せておくので、その首をはねて下さい。」と答えます。約束通り7月9日夜、盛遠は布団をかぶって寝ている友人の首をはねます。ところが、寝ていたのは袈裟御前その人でした。袈裟御前は夫を助けるために盛遠に殺されたのです。盛遠はこの罪を償うために出家し諸国を周りながら修行を続け小郷の地で没します。その後、小郷の人々は、現在の地に奥の山から切り出した石により墓を建立してお参りを行っております。その墓石には、旧暦の7月9日になるとどこからとなく墓石に「ナメクジ」が這い上がり夜明けとともに消え去ります。これは、盛遠が荒修行を乗り越えて高僧となって罪をつぐなったことでその罪を許す袈裟御前の霊だと言われ、背中には黒い筋があり刀傷だと伝えられております。
 子供には非常に説明しづらい言い伝えですが、 旧暦の7月9日は袈裟御前が没した日に当たり、この日を九万九千日と言われ一日の参拝で九万九千回お参りしたことになるという大変ありがたい日といわれております。この日は時期がいつも変わり早いときは7月中旬、遅いときは9月初旬と不定期ですがなぜだかその日になるとナメクジが必ず現れます。他所では害虫と呼ばわりされるナメクジをここでは、「歴史の中の人がよみがえる」というシンボルとして扱われ供養をされており、まさに「奇祭」です。すぐ隣には小郷のシンボルであります国の天然記念物「加子母の大杉」という樹齢千数百年の大木がそびえ、その前には行基菩薩「一刀三礼」の作と言われる等身大の地蔵尊「大杉地蔵尊」をお祭りしてあります。
 このナメクジ祭りには地元の人々が色々な店を出し、賑わいを見せておりますが、特に産業部という自治会の農業部門の組織が区民から無償で出品協力を得た新鮮野菜の販売は格安になっており人気もあります。また、ナメクジにちなんだくじの「なめくじ」販売は豪華賞品が当たるなど大変好評を得ております。
 また、主会場周辺におきまして「萬燈会」(まんとうえ)というローソク祭りを開催しております。厄除け、願い事を込めたローソクを沿道に並べます。涼と静寂をお楽しみ下さい。


時期が時期だけに盆踊り

盆踊り櫓とバザーテント

大杉前の参道を北から望む

参道を南から望む

なめくじの出現を見学する人々

文覚上人墳墓付近

萬燈会と地蔵尊と大杉

萬燈会ルート